5〜6%。

衣替えをしていると、いろいろなことを思い出す。この服はあの時の服、とかその時の風景とか。長々しき日を氷の下で送ったために、心が痩せている。残存部は5〜6%。湯に戻したり、手で揉んだりしてゆっくりと修復しないとダメだろう。その時々の感情を圧縮なく成仏させないと、心は死ぬ。いろんなところを揉んで息を吹き返さないとなかなかうまくいかないだろう。無数の棘と血。痛いと言わないと自分は消えていくだろう。
メモリーはかすかにある。それを周回して徐々に思い出すしかないだろう。ただそれは楽しい作業でもある。回復へと向かう作業。迅速には進まないが、粘り強くやるしかないだろう。欠けた断片を拾い集める。再構築する。
多分理論的にはっきり理解できたとしても、結論は変わらないのかもしれない。しかしそれがわかることには意味がある。
でもまあそんな感じで未完成でもそんなに悪いことでもなかった。それも流れのうちの一つ。