誤算

あまりにも仕事が忙しかったので、知り合いのハタチの女の子をバイトに雇った。私が、めんどくせぇ、死ぬーと思ってたデータ整理もテキパキとやってくれ、「部屋も散らかっているし、よかったらお掃除もしましょうか?」と言ってくれる献身ぶり。そうだ、我が社も一人では忙しくて手におえなくなってきたし、バイトを雇うというのは妙案。しかもピチピチでムチムチ、プリンプリンの女の子ばっかし雇ってやろう。厚着禁止。いいではないかっ!
まあしかし、その前に稼がなければならないわけで、彼女のEカップを横目でチラチラと見ながら、ひたすら作業。たまにエクセルの高度な使い方を教える時に、肩越しに彼女のマウスをいじくり、プチセクハラ。セクハラは嫌いな相手にやられると嫌なものだが、そうでない時は特に問題にはならない。
そう、私はかつて一度だけ彼女と寝たことがある。その後いろいろと忙しくてあえなかったのだけど、久しぶりだし、ちょっといいことあるかもしれないと思った夏の夜なのである。
ようやく仕事が終わった。サラっと食事に行き、再びオフィス(という名のアパート(笑))に帰る。ビールも飲んだ。

「社長、終わりましたね!」
「うむ、ご苦労。」
彼女は肩がほとんど見えてしまう胸の広く開いた服を着ており、今や触れなば落ちんとの様子。ブラジャーの深い谷間の向こうに引き締まったウエストが見える。
「さて・・。ちょっとエッチしようか。」
「ええっ・・・。無理ですっ。」
「な、なぜに!?(;´`)」
「私、彼氏ができて・・」
「そっか。そうだったのか。じゃしない方がいいね(^^;)」
「ごめんなさい・・。私、恋が始まると一途になっちゃうんです」
「フッ、いいよ。僕には君との新宿の思い出がある・・」
「高橋さん・・」
「君の瞳に乾杯、だね」
そして話を笑いに持っていってごまかした。
でも本当はきつい仕事の後の一杯、そして裏ドラ一発を期待していたのである!Eカップはその姿の片鱗だけを見せて帰ってしまった。ああ、梅雨よ!私の心の梅雨明けはまだかっ・・・!
帰るな、Eカーーップ・・・。
期待は思いっきり空振りになった。大誤算・・!
でもいいさと自分を慰めた。彼女はまだハタチ、彼氏と別れることもあるだろう。その時僕の元に戻ってくればいい。生まれた川に戻るサーモンのように・・。きっと脂を乗せて帰ってくるだろう。
カップ、カーーームバァーーック!
と心の中で叫びながら、雨に煙る遮断機の向こうに消えていく彼女の後姿を見送るのだった。

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