頭文字D

ジムのマシーンでものすご〜く重いウエイトを上げようとしていた。
また未知の世界のその重量が、上がるか上がるまいか。筋肉はついている。
あとはそう押すだけだ。
グッと力を入れた。少しずつ持ち上がっていくウエイト。
(これは…いける!)
確信があった。横からはカワイイ女子大生くらいの子がチラチラとこっちを見ている。
(よし。ギャルの視線を一人占めだなっ!)
ウエイトは半分まで上がった。しかし、そこからがなかなか上がらない。呼吸をゆっくりとため、コォ〜〜〜と息吹しつつ、最後の力を入れる。
ウエイトは8分のところまで上がった。後少しだ! 行け、オレ!

その時である。ふと視線の先に妙なものが目に入ったのだ。
痩せた体。全身にピッタリとしたボディタイツの男。40歳くらい。
そいつがなんとも妙な仕草で歩いているではないか。両手を頭上でチューリップのように合わせ、「くねっくねっ」と気持ち悪く歩いている。
(あれは…デューク更家!!)
本物か偽物かわからないが、とにかくあの特徴のある体形と歩き方である。
これが効いた。
あと少しのとこまで上がっていたウエイトが震える。おかしいのである、デュークが! もう最強におかしかった(笑) 噴き出しそうになってこらえるが、プルプルと震える筋肉。
「バホッ!」
ついに耐え切れなくなって噴き出してしまい、ウエイトがガシャン!と落下。もう少しだったのに…。
デュークがこっちを見て、ちょっと軽蔑したような表情をした。
お前のせいだろうがっ!(笑)
あの歩き方、好きな人の前でやったら百年の恋も冷めるだろうと思う。

日記才人投票