私の知らない理論

釣りの遠征先で1人の男と出合った。
「話しないでもくもくと釣ってる奴っているでしょ。一言言えば話すのに…」
「フムフム」
なんて話してたけど、本来私も話さないほうだ。もくもくと釣る。忘れたい事がたくさんある。それに傷ついた心を晒せない時もある。
でもまあそういうのはわかってもらえない事も多い。気取った奴だと思われることもある。
裏切られた時の事を忘れるのはなかなか難しい。
もちろん新しく会う人にはそんなの関係ない。悪いのはこちらだ。気持ちをわかれと強要することもできない。
だから黙っている。
でも彼は人は誰でも仲良くするものだと信じていた。同じような年だが、彼は結婚して子供がいるし、私は1人だ。そういうところは差なのだろう。
多分、それが彼らの世界なのだ。私はその世界から外れたところにいる。私の知らない理論で彼らは動いている。それがわかるので私はいつも疎外感を持ってしまう。まるで何か自分が悪いような気がしてしまう。生きにくい世の中だ。うまく人を信じられる気持ちになれない。
その理論を知るためには、それを私に理解させる行動が必要となる。しかしそれは金輪際有り得ないだろう。だから違うルートでその理論にたどり着かねばならない。そんなのあるのか。
人を信じて、よーし明日からは自分から楽しく話しかけよう、なんて日が来るのだろうか。やり方がわからないから、これからも同じことの繰り返しになるだろう。私の知らない理論。言語の通じない世界に私1人。
まあとりあえずよく考えて動くことにしよう。