憑き物が落ちた

自分の中の濁っていた感情が静かに消えていった。冷静な頭で考えると自分はとても醜かった。低俗で、焦っていて、必死すぎて、狂っているような感じだった。
私は弱いな。


この人格は今まで何度か見かけたことがある。人格βとでも名づければいいのか。長い間自分を失ってると出てくる低俗な人格だ。
人を信じず、弱く、怯えていて、嫉妬深くて、知能指数が低くて、醜い獣。
普段は、普通に見える人格αが統治してるけど、良くない状態になると人格βが顔を出す。人に対して酷いことも言ってしまう。多分、人格βの方が私の本質に近い。私の本質は汚くて未熟で孤独だ。
この人格βが表出して嫌われたことも多かった。
やっちゃったなぁ…。


普通の人はこういう裏人格をあまりもってないように思う。多分、ある少数の人だけが持っている虐げられ捻じ曲がった心なのだろう。
この心が猛烈に反抗する。不公平感に対抗する。「なぜ自分だけ」と。


明るい自分αと偏狭な自分β。いつもαでいようと思うのだけど、βは滅びず、所々で顔を出す。拗ねている。知能指数も低い。
でもほんとは私はβもなんとかしてやりたい。誰か(多分親)が払うべき代償を払ってもらってないからだ。
βは恐ろしく弱い。傷つけられるのを極度に恐れている。でも同じくらいの強烈な力で愛されることを求めている。助けてと叫んでいる。一人にしないでくれと。


でもそれを誰かに求めることはやはりできない。筋違いだ。
これをどうして行くかということにはいいアイデアもないのだけど、人の間で生きる以上、人のルールで生きて行くしかない。多分、自制心。そして人を信じること。


人、か。
そういえば明日は義理返しのホワイトデーだな。
キャンデーでも買いに行こう。