カラマーゾフの兄弟 覚書

亀山版のカラマーゾフの兄弟を読了。思ってたよりつまらなかったけど、昔わからなかった所がよくわかるようになった。さすが古典新訳。何かの哲学書にあったけど「長い方が短い時がある」の例。
でも神だのなんだの言い出されるとどうも拒否反応を起こす。有名な大審問官のパートもイマイチだし。ホフラコーワ夫人の長口舌とかエゴとかキチガイっぷりにも辟易。高村薫の照柿なみに読んでてムカつく(笑)

それでもさすがはドストエフスキー、いい部分があったので覚書に抜書き。4巻は面白い。

アリョーシャ「それに滑稽がなんです、能力のあるほとんど全ての人が滑稽を恐れてさらに不幸になってるんですよ。これはほとんど狂気です。このうぬぼれにつけこんで悪魔が全ての世代に忍び込んでる」

このセリフは未完の続編でユダとして書かれる予定であったらしいコーリャに向けてのもの。これは太宰のトカトントンのラストに近いものがあるなぁ。
あとスメルジャコフとイワンの争いを訳してるところなんかスゴイ。よくぞあそこまで論理的に。もう六法全書なみにややこしい話なのに(笑)
あと「罪と罰」と「地下室の手記」が古典新訳で出たら買おう…と思ってたら「地下室の手記」はもう出てんのね(笑) 買っておこう。ロシアではトルストイの方が好きだけど「戦争と平和」は挫折したのでああいうのも出して欲しいところ。昔の本と比べて活字も大きいし読みやすい。DSに収録してくれてもいいんだけど(笑)