ボーリング慕情

昨日、合コンでボーリング?と聞いた時、ふとイヤな予感がした。あれは1997年の秋、同じく合コンでボーリングに行った時である。その中のメンバーには後ほど付き合うことになる洋子がいた。そして同じくそのボーリングがきっかけで別れることになるのだが・・・。
洋子はボーリングが好きだった。
スコアの平均は150ぐらいで、私より断然うまかった。その後のデートでも何回かボーリングに行ったのだが一度たりとも勝つことはなかった。でも、私はそんなにボーリングは好きじゃなかったし(わざとらしくナイス!とか、すごーいとか、ハイタッチとかするのがイヤ。順番待ちもタルくてイヤだった)、むしろ併設されていたカラオケに早く行きたいよ、という感じだった。
しかしある時、彼女の友達とその彼氏とダブルデートしたんだけど、そこで悲劇は起こったのである。もちろんボーリングに行ったんだけど、その友達の彼氏がメチャうまかったのである。160くらいコンスタントだった。そして悔しいことにルックスも石田純一に似て格好よかった。
洋子がその男ばっかり見てるので腹が立って、私は洋子の彼女ともっぱらしゃべっていた。安心することにその子はスコアが70くらいで私と同じくらいだったし、まあ今で言うと乙葉ちゃんみたいで可愛かった。

そしてボーリングの後、カップル同士で別れ、洋子と二人になると、彼女は不機嫌そうに言った。
「高橋君もボーリングうまかったらいいのに」
と。
「そうかなぁ。でもストライクとる時もあるし、球速ははやいし、いいんじゃないの?」
「違うよ。私がイヤなのは高橋君が決して嫌いなことには努力しないことなの。本気でやったらうまくなるかもしれないのに。やっぱり男の人なんだからアベレージ100は越えないとヤだ。」
「わかったよ。そのうち練習しとくよ」
そんなわけで私はボーリングの本を買い、一人でボーリングに行って地道に練習したのである。今思えば素直というかバカというか(笑) 
しかし、ボーリングのアベレージが100を越える頃、彼女とは急速に冷えて行き、なんと結局彼女はそのボーリングがうまい男と付き合うことになったのである。友達の彼氏を取るってどうよ?
んで、その後、その乙葉ちゃんと当てつけに、とかいろいろドロドロドロドロしたんだけど、そのへんは割愛。私の昔の話は何かとイタイのである。(今もか?(笑))
そして話は現代へ戻る。
昨日、やはり合コンでボーリングとなって、私はひそかに頑張った。ダブル、ターキーとストライクを連発し、下手な女の子にコーチをしつつ、ぶっちぎりの優勝。何かを真剣にやったのは久しぶりだった。よし、これで女の子のハートは俺のものだっ!
そして今や、ボーリングのハイタッチとかにも馴染めるようになっていた。要するにそういう儀式って結構重要な時もあるのである。
が、しかし。
なぜか女の子の人気は、あまりスコアの良くない伊藤くんに集中していた。おかしい、そんなはずは・・。
伊藤くんは後で言った。
「高橋さん、ボーリングなんてマジでやっちゃダメですよ〜」
「いや、やっぱ男は100超えないとさ・・・」
「僕、携帯のメルアドを3つゲットしましたよー」
明るく笑う伊藤くんだったが、ふと気づいた。そういえばこの男、いしだ壱成に似てるじゃないか。
なんだよ、結局顔なのかよ!ボーリングなんて関係ないじゃん!っていうか、いしだ壱成なんて麻薬やってるじゃないかっ!(T_T)
と、しょうもない八つ当たりをしつつ解散。
手の中には私が優勝したというスコアカードだけが残り、私はそれを紙飛行機にして、渋谷の夜に投擲した。

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