マーチでドライブ

愛車・すー子ちゃん亡き後、ずっと車に乗っていなかったんだけど、友達の真由子ちゃんがドライブにつれてって欲しいというので日産レタンカーで車を借りることに。そして、彼女の近所まで迎えに行くことになった。
まずは、レンタカー受付の感じいいおねーちゃんと、「近所に住んでるんですよ、時々貴女を見かけますよ」などとご挨拶し、一番程度のいいという車マーチ1200ccをゲット。オレンジ色の可愛いやつ。小さな挨拶で気持ちいいライフである。リモコンつきのキーを貸してもらっていざゆかん。車には私の心の友・ナビちゃんがついてるし、おねーちゃんの素敵な笑顔に見送られ、さんさんとした太陽を浴びながら出発である。
しかし、このマーチという車、アイドリングの音が聞こえない。すー子ちゃんはボボボボボという、九州の女の子が聞いたらはにかむようなアイドリング音だったのに、マーチは静かなものである。ほんとうにエンジンかかってるのか?とパネルを見るもなんとタコメーターがない。そんな車ってありなのか? 不安になってキーを回してみたら「ギギギギギ」という音がしたのでようやくエンジンがかかってることを確認できた。(車が壊れるので良い子は真似をしてはいけません(笑))。
さて、出発。ハンドルを優しく撫で、初対面の挨拶。
「行きましょうか?」
「ええ・・」
とマーチは良家の子女のような感触。大量生産された、よく出来たおとなしい娘といった感じである。
アクセルをゆっくりと踏むと、スッと動き出した。今まで大きな車体に乗っていたので小さなマーチはとても運転しやすい。細い路地もなんのそので、ブレーキの効きもいい。ちょっとタイトなカーブできゅっきゅっと曲がってみると横Gも気持ちいい。ああ、やっぱりドライブは最高。ナビちゃんをセットして彼女の近所へgo!
そして30分ほどで到着。真由子ちゃんは白を基調とした春らしい服で、助手席に乗り込んできた。私はスピッツのCDをセットする。やっぱ春ドラはこれでしょう。
「この車可愛いね!」
「うん、真由子ちゃんの次くらいに」
とドライブへ。それにしてもドライブは気持ちいい。スピッツを口ずさみつつ、ODボタンをon/offしたり、かくっかくっとライン沿いに左折したりして楽しむ。真由子ちゃんがいろいろ話し掛けてくるんだけど、ちょっと黙っててという感じ(笑) なんで一人でドライブしなかったんだろう?これがマニュアル車だったら真由子ちゃんのことを忘れそうな勢いである。次に買う車は絶対マニュアル車だね、と金もないのに心に誓う。
そう、マーチに乗った最初の方は、「すー子ちゃんならこういう反応なのに」とか「すー子ちゃんならここで相槌を打ってくれただろう」と懐かしんで涙ぐんだのだが、途中から運転が楽しくなっていった。考えてみると、まるで別れた女のようである。結局、どんないい女であったとしても現在の現実という時間は容赦ないし、抵抗しがたいのかもしれない。思い出は永遠だが、それだけではお腹がすくのだ。
・・・さて、海を見たりレストランでメシを食ってると夜になった。
「今日は楽しかった。送っていくよ」
というと、彼女は
「高橋さんのお家が見たい」
と言い出した。そして困ったことに、レンタカー屋までついてきたのである。せっかく受付のおねーちゃんと仲良くなれそうだったのに、彼女持ちと思われたらマズイではないか。その意識を知ってか知らずか、彼女は受付の前で腕なんか組んでくる。おいおい・・。
結局その姿を件のおねーちゃんに目撃された。あーあ・・。
こうなったら真由子ちゃんに責任を取ってもらわなければならない。家に来たのなら、身ぐるみを置いていってもらおう。
「え、高橋さんとはそんなつもりなかったのに・・・」
と言う彼女を布団の上に横たえ電気を消す。そんなつもりもどんなつもりもあるか。俺はお腹がすいてるのじゃー!ガオー!

ということで、彼女の中でシフトレバーを動かしつつ、1気筒ピストンが・・・(以下自粛)

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