賢者の贈り物

悪友ガイちゃんから電話がかかってきた。
「今度引っ越すんだけど、i-MACいらない?」
もちろん、欲しいと二つ返事する。マックを使うなんてなんとなくインテリゲンチャの匂いがするし、ファッショナブルではないか。
「・・・それで、あとエロDVDがいっぱいあるんだけど、いらない?」
「も、もらうとも!!」
ソフトオンデマンドの全裸シリーズもあるよ♪」
「クレクレ!」
しかし、ここで異変に気づく。だってエロDVDなのである。独身男にとって、これほど重要なものがあろうか?火事とか地震があったら真っ先に持って逃げ出すもの、それがエロDVDなはずである。(←?)
そして10年以上住んだアパートを引っ越すとは・・。記憶が巡る。そう、あれほどエロに対して獣のようだったガイちゃんが、この頃、明らかにイイ人になっている。これらの状況が導き出すものは・・
女だ…!(ざわざわ…)
謎は全て解けた!そう、彼は女ができたため、もうエロDVDが必要ないのだ!なんであれほど気前がいいのか。それはもうクモの糸を伝って天国に抜け出すガイちゃんが、「ほら、高橋。やるよ( ´ー`)」とチョンガー界にズブズブと飲み込まれている私によこした最後の餞別なのである。そう思うとありがたいと思えたエロDVDがなんだか少しくすんで見えた。そうか、奴もシャバに帰るのか・・・(ーー)
思えば私は何人もの友達からそれを受け取っていた。「結婚するから、このエロビデオ、やるよ」「今度の彼女、こういうのにうるさくてさ」「100本全部持っていってくれ」・・・。
そして私の部屋にうずたかく積もるAVタワー。今度はDVDだからそんなに場所取らなくていいぞ・・・って、そんな問題じゃないだろっ(;´`)
このDVD、君がいらないといったから、1月18日はエロ記念日。
嗚呼。



そんなわけで、レンタカーに荷物を満載して家へと帰る。助手席にはむろん誰もいない。
寂寥に襲われたので、FMラジオをつけてみた。
カーステからは、ケントセイントジョーンズの「スゥィート・ミュージック」が流れていた。
胸にグッとくる。実は最近、ちょっと難しい恋をしてしまって、そのつらい雰囲気に曲がマッチした。多分、こういうラブソングを作る作曲家はきっと恋の途中でこういうメロディが浮かんだんだろうなと思う。
やや大きめの道路の継ぎ目に車がさしかかると、後ろのDVDがガシャガシャと揺れた。
きっといつか誰かにこのDVDを笑顔で譲ってやろうと思う(;_⊂)
日記才人投票