どうってことないもの

この前、深夜3時ごろチャリでコンビニに向かっていたら、街灯のない暗い道で不気味なオッサンが立っていた。頭がおかしいのだろうか、ジッとこっちを見ている。しかし、コンビニはその道の向こう。そこを通らずしてコンビにはたどり着けないのである。
非常な恐怖を感じたが、反面、たかがコンビニに行くためになんでこんなにビビらないといけないのかと思うと腹が立ってきた。私に罪はない。悪いのはそんなところに不気味に立っているオッサンである。
オッサンが近づいてきた。チキンレース。こんなことで負けてなるものか、と私はチャリを走らせた。そしてチリンチリンとベルを鳴らす。
もうすぐ当たる、というところになってオッサンはようやくチャリを避けた。勝った!と思い、何気なく振り返ると、オッサンがこちらを追いかけてきていた。
逃げるか? 否。
私はチャリを止めて降り、待った。たとえ狂人といえども、ビビりたくなかった。
オッサンが近づいてくる。何かあった場合、蹴るのは腹と決めた。
にらみあった。冷たい目でみつめた。そして数秒。
オッサンは引き返していった。
完勝。
怖がってもいいけど、逃げたらダメな時がある。もちろんフィジカルに逃げるのはかまわないけど、魂が逃げてはいけない時がある。下向いて歩くくらいなら、殴られた方がいい。自分自身を安く値踏みしてはいけない。よく見てみれば怖いことの大方は、どうってことないのだ。

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