公園で見た虹

小学校3年生の時、親の都合で転校した。転校といっても同じ大阪府内だったんだけど、小学生にとっては十分遠い距離であった。
転校前の学校では私はガキ大将で仲のいい友達もたくさんいた。放課後はいつも学校の近くの公園で野球をしたりドッヂボールをしたりして遊んでいた。
しかし、そんな仲の良い友達と別れ、転校してからは様相が変わった。知らない人ばかりでどうしていいかわからなかったし、しゃべる相手もいなくてつまらなくなった。そしてくさってるところにガキ大将に呼び出され、ケンカになった。哀しかった私はそいつを手酷くボコボコにした。そうするとますます仲間はずれになった。
放課後はどこに寄ることもなく、家にすぐ帰った。カギっ子だったので、退屈だった。前の学校では夕方遅くまで遊んでいたので気がつかなったが、1人でいると、時間というのはなかなか過ぎて行かない。
ある日寂しくなって、前の学校の近くの公園に行ってみた。誰か友達が遊んでいるかもしれない、と。初めて1人でバスにのり、道に迷いながら公園についた。
しかし公園には誰もいなかった。小学校の創立記念日か何かだったのかもしれないけど、とにかく公園はガランとしていた。涙が出そうになったので、空を見上げた。
すると上空青い空の遥か高くに一本のまっすぐな虹が出ていた。アーチ状ではなく直線でひいたようなまっすぐな虹だった。それが生まれて初めて見た虹だった。公園には誰もいなかったけど、虹が出て、私を迎えてくれたのだと思った。
その後、しばらくして転校先でもようやく友達ができていった。公園にもそれ以来、行かなかった。
ただ、今でも辛くなると時々思い出す。何もかもがダメになりそうだと思った時に、あの空高く、一直線に伸びた虹を。悪いことばかりじゃなくて、天から見守られているんだと。本当にダメなことなんてないと。
誰にでもこの世界のどこかに虹がかかっているんだと思う。

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