月は球面で光る

冬は夜の訪れがほんとに早い。5時を過ぎるともう暗いし、下手をすれば3時ごろから西日の哀しい色になる。
まだ夕方だったと思うが、もう月が出てる夜を歩いていると、見事なほどの三日月だった。プラチナ色にやや左に傾いて、下側から光っている。そうか、太陽が月の下の方にあるんだなぁと思った。
でもそうやって考えてみると、光っているのは反射であって、月自体ではない。しかもその色からして、反射というよりも夏の砂浜がまぶしく光るような、白い砂が強烈に照らされた光じゃないかなぁと感じた。そして三日月になっているのは、もともと三日月がそういう形だからではなく、月が球面だからこそ、光の当たり方に曲率が出るのだなぁと思った。
今まで見ていた月は、もしかしたら先入観で見ていた月かもしれない、と思う。
絵本に書かれた月は球ではなくて、薄い皿を割ったような三日月だ。だから月はうすっぺらいものというイメージがどうしてもある。しかしながら実際には、月は球面で、立体的に光っているのだ。
もしかしたらニュートンがリンゴを落ちるのを見た時もこんな感じだったのかもしれない。
私も何か自然科学の天啓がひらめくだろうか、と思って期待したけど、白く光る月を見て私の頭が出した答は「肉まんが食べたい」ということだった。寒さの前には科学なんかちっとも役に立たない。
でも物事は先入観で恐ろしくゆがめられるのだなぁと思った。真実は意外な形であることもある。

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