記憶

台風の後の海岸みたいになってとっちらかっていた心がだんだん元に戻ってくる。夜毎にうなされる回数も少なくなる。時間というのは強い。ピークを耐えれば後はそのピークを越える瞬間はなく、徐々に減衰して行く。
ゼロになる、というわけではないけど。


そこに到るまでの過程の記憶が戻ってくる。自分の成り立ちや、足取り。ああ、そうだったなと気づく。そして今回の事でも糧はあった。
凍った壁が涙と共に少しずつはがれて行く。
まだ世界はいろいろと残っているなと思う。